お客様のスマイルのために

従業員満足度調査は何のため?
マクドナルドが「クルーの満足度」を大切にするワケ

従業員満足度調査は、ただ実施するだけでは効果半減。その調査結果を受けて、現場に適切なフィードバックをすることが大切です。「クルー満足度84%」という高い数値を維持するマクドナルドは、従業員のモチベーションを保つために、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

All About 専門ガイド

中野裕哲さん

中野 裕哲さん

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナーCFP(R)、All About「起業・独立のノウハウ」ガイド。起業準備から起業後の経営まで「まるごと起業支援」できる専門家として活動中。年間約200件の起業無料相談を受ける。経済産業省後援DREAM GATEで2010年、2011年、2012年と3年連続で起業相談数1位に輝き、最優秀賞ほか8部門で受賞。

従業員満足度調査は、会社の健康診断

「従業員満足度調査は、いわば会社の健康診断みたいなものなんです」

そう話すのは、起業コンサルタントで、日本の労働事情に精通している中野裕哲さん。そもそも従業員満足度調査とは、待遇や業務内容、職場への愛着などについてのアンケートおよびインタビューを従業員に実施し、会社に対する満足度を図る調査のこと。多くの企業で年に一度実施している健康診断と同じように、従業員満足度調査を定期的に行うことで、「会社の健康」を維持することが大切だと中野さんは語ります。

中野さん「肝心なのは、調査で得た結果から対策を講じ、施策に活かすこと。例えば、健康診断も受けるだけではあまり意味がありません。診断結果を見て、運動したり塩分を控えたりすることで、初めてその効果がもたらされます。それと同じで、従業員満足度調査を実施したら、時間を空けずに適切な改善プランを提案することが重要。逆にいえば、フィードバックのない調査を繰り返し実施するだけでは、従業員のモチベーション低下を招くおそれもあるのです」

年2回! マクドナルドの驚くべき調査実施システムとは

例として、「クルー満足度 84%」という高い数値はじき出したマクドナルドの場合を考えてみましょう。

マクドナルドの従業員満足度調査の特長は、そのシステムの確立性の高さにあります。調査を行ったら、すぐに結果分析と改善のためのアクションプランの作成を行い、そのプランを実行。調査からアクションまでの流れがきちんと確立され、これを年に2回、継続的なサイクルプロセスとして行っています。

中野さん「まず驚くべきことは、従業員満足度調査を年に2回も行っていること。アルバイトの従業員数が14万人というマクドナルドの規模感を考えても、よほどシステムが確立されていないとできないことでしょう。また、立地や店舗形態によって異なる課題点の一つひとつと向き合い、改善プランを店舗ごとに作成・実行しているのも特筆すべき点です。企業が現場で働く人たちを尊重し、各店舗の価値観を大切にしていることがわかりますし、それが『84%』という高い満足度につながっているのではないでしょうか」

マクドナルドでは「WebSmile」と呼ばれる従業員専用のウェブサイトを設けており、従業員満足度調査への回答も、ここから簡単にできるようになっています。また、調査におけるアンケートは、日本語のほか英語や中国語などあわせて5つの言語に対応。14万人という大勢のクルーが相手でも、一連のプロセスを画一的なものにせず、調査の精度をより高めるための工夫がいたるところでなされているようです。

従業員の満足度向上は、企業の成長につながる

企業の成長を支えるのは「人」そのもの。そうした経営理念から、マクドナルドの企業文化は「ピープルビジネス」と呼ばれています。従業員満足度調査はもちろん、体系化された教育システムや、ワークライフバランスを尊重した雇用環境も、そうした考え方を反映した取り組みです。

中野さん「マクドナルドの教育機関では、マネジメントやコミュニケーションスキルなどを学べる『ハンバーガー大学』が有名です。興味深いのは、この大学がマクドナルドの日本一号店のオープンよりも1か月早く開校したこと。人を育てることを大切にする企業姿勢が、ここにも表れています。」

「人」と向き合い、個性を尊重した経営のあり方は、その企業にどのような影響をもたらすのでしょうか。

中野さん「豊かな労働環境は、会社への愛着を育てるだけでなく、『この会社のために成長したい、貢献したい』という大きなモチベーションにつながります。おのずと従業員の能力を高め、顧客の満足度向上にもつながり、結果、ビジネスの成功を導くでしょう。近年では、人口減少や価値観の多様化、グローバル化にともない、個々のライフスタイルを尊重したワークライフバランスの重要性や、『働きがい』へのニーズが高まってきています。マクドナルドは、そうしたニーズに対する取り組みをいち早く取り入れてきた企業のひとつといえるでしょう」

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