お客様のスマイルのために

「自分で考える」がキーワード
学びながら成長できる職場とは?

従業員に働きがいを感じてもらうために重要なのは、いかに働きやすい職場環境がつくれるかどうか。職場に活気がなければ仕事が楽しいとは思いづらく、仕事へのモチベーションもなかなか上がりません。働きやすい職場環境をつくるには何が大切か。All Aboutコーチングマネジメントガイドの平野圭子さんにお話を伺いました。

All About 専門ガイド

平野圭子さん

平野 圭子さん

All About「コーチングマネジメント」ガイド。日本コーチ協会理事長。株式会社コーチ・エィ エグゼクティブコーチ、国際コーチ連盟マスター認定コーチ、一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ。1997年、米国のコーチ育成機関との交渉に携わり、日本初のコーチ育成機関の設立に関与する。 2002年、国際コーチ連盟の理事に就任。2004年まで務める。 企業管理職やコーチを対象にしたコーチング実績は約3000時間。トレーニング、講演実績は約300時間。トレーニングは主にコーチ育成トレーニングと、リーダーシップ開発トレーニングを行う。

働きやすい職場づくりに大切なことは

「働きやすい職場にするために大切なことは、そこが『学びの場』になっていること」。そう語るのは、日本にコーチングを導入した先駆者の一人であり、これまでに3000時間以上のコーチング実績がある平野圭子さん。

平野さん「働いている人が何をモチベーションにするかと考えたとき、大きな要因になるのが『自分の能力が高められること』です。延々と言われた通りの仕事ばかりをして自分が成長していると実感できなかったら、きっと徐々にやる気をなくしてしまうでしょう。チャレンジできるような課題を与えられたり、できなかったことができるようになったり、自分の能力が開発される機会を得られることが、従業員の大きなモチベーションにつながるのです」

職場環境を「学びの場」にすることで従業員のモチベーションが高められる。では、実際に「学ぶ」とは、どういうことなのでしょうか。

平野さん「学ぶ上で最も大切なのは、自分で考えることです。コーチングでは相手に指示や命令は一切行いません。目標を達成するために何をすべきなのか。質問を投げかけ、その答えを自ら導き出させるのです。そして、相手が目標に向かってどのように進むのかを常に見ながら、もし方向がずれてしまったら修正するために新たな質問を投げかける。そうして寄り添いながら目標を達成させるのがコーチの役割です」

マニュアルにないことは「NG」ではない

自分の職場が働きやすい環境かどうかを示す指針に従業員満足度調査がありますが、その満足度が84%という高い数値を誇るマクドナルドは、どのように職場環境をつくっているのでしょうか。

平野さん「マクドナルドの素晴らしい点は、しっかりと『学ぶ場』になっていること。クルーのトレーニングマニュアルを見ると、想定されるシチュエーションに対して、その対応法をマニュアル化しているのではなく、“あなたならどうしますか”と、自分で考える問いかけになっています。しかも、自分で考えた後にマネージャーやほかのクルーに尋ねることもセットになっており、違う対応法を知ったり考えたりする機会も得られる。このトレーニング法は、きちんと自分の能力が開発される仕組みになっています」

一般的にファストフード店などでは、サービスを均一化するために、すべてマニュアルで決められていると思いがちです。けれど、様々なニーズがあるお客様が訪れるため、あらゆるパターンをマニュアル化するのは不可能に近いでしょう。そこで重要になるのが「考える力」なのです。

平野さん「均一のサービスを目指すとき、各々に自由に考えさせると均一でないケースが生じてしまう可能性もあります。しかし、すべての従業員に共通した目標・理念があれば、それほど差異は生まれないでしょう。マクドナルドの場合、『すべてはお客様のスマイルのために』が、絶対に揺らぐことのない目標なのだと思います。だからこそ、マニュアルに縛られるのではなく、自らが考え行動できるのです」

あらゆる環境で役立つコーチングスキル

働きやすい環境をつくるために、従業員一人一人に考えさせる。そして、それが従業員のモチベーションを高め、ひいては業績をアップさせる。ただ、モチベーションを維持させるためにもう一つ大切なことは、適切な評価をすることだと平野さんは語ります。

平野さん「例えば、まったく同じことをしているのに、ほかの従業員だけ高く評価されたら面白くないですよね。自分のしてきたことに対して適切な評価をしてくれる。そして、適切な評価をするために重要なのは、常に従業員の行動を見ていることです」

目標を達成するために質問を投げかけるだけ投げて、あとは放っておく。そして、ある程度の期間をあけてそのときの状況を見たところで適切な評価はできません。現状に至る過程も見て、継続的に関わりを持つことがコーチングの基本なのです。また、平野さんによると、コーチングは職場だけでなく家庭でも役立つそう。

平野さん「子育ても、ある意味でコーチングと同じです。子どもの個性を理解し、継続的に関わることでしっかりと育つのです。また、コーチングは自分が実践するだけでなく、受けるだけでも貴重な経験になります。マクドナルドで働きながらコーチングを受け、自分がどのようにして成長できたかを実感する。それが今後の日常生活で非常に役立つに違いありません」

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