SMILE_vol.426
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まじめな人一歩踏み出せる理由ハッピーはめぐりめぐる小倉さんは、ビシッとモノを言える人だ。仕事において間違っている点は、「正しくない」としっかりと伝える。一方で、それ以上に仲間へのフォローやレコグニションを大切にしている。そのため、フィードバックを受けたクルーたちの中には、「もっと頑張ろう」という気持ちが自然と湧いてくる。クルーたちの勤務スケジュールも毎週小倉さんが作っているが、全員が新しい仕事に挑戦し、成長できるように綿密なプランが組まれている。なかなか会えない時間帯で働くクルーには、メモ書きを残して、期待する役割や日頃の感謝を伝える徹底ぶりだ。マネージャーユニフォームに袖を通した彼女は、常に元気で明るくポジティブで、お客様へのおもてなしや店舗運営中のリーダーシップも素晴らしい。だが、そんな彼女にも不安や悩み       はあり、いくつもの失敗と挫折を味わってきた。「私はまじめだけが取り柄なんです」。自身でも話すように責任感が人一倍強く、完璧主義だからこそ、もしかすると他の人よりも多くの壁にぶつかってきたかもしれない。店舗運営が思うようにうまくいかなかった日はすごく落ち込んでしまうし、セールスレコードに挑戦する日の前日は、万全な準備をしていても仕事中は緊張と不安でいっぱいにもなる。それでも、仲間たちと一緒に解決策を考え、一つひとつ課題を乗り越えてきた。「ひとりよがりにならず、〝任せる〟〝頼る〟〝見守る〟を少しずつ実践していけるようになったことで、クルーたちもお客様のために行動できるようになってきています」。なぜ、この店舗のクルーたちは前向きかつ主体的に行動できるようになったのか?小倉さん自身がいつもポジティブでやる気に満ちあふれているから。クルーの仕事をよく見て、たくさん褒めているから。期待していることを一人ひとりにしっかりと伝えているから。どれもクルーたちの意識を変えるきっかけではあるが、もう一つ大きな理由がある。それは、小倉さんの仲間の話に耳を傾け、寄り添う姿勢だとクルーたちは話す。「みんなの意見やアイデアをしっかりと聞いて、店舗運営に取り入れてくれます」「うまくいかず悩んでいた時に、一緒に解決策を考えてくれました」。自身が失敗を経験し、最初から強い人間でなかったからこそ、仲間の弱さにも寄り添い、優しく背中を押すことができる。みんなが自分で考え、一歩を踏み出す機会と勇気を、彼女は仲間たちに与え続けている。〝ハッピーな私が、お客様をハッピーにする〟というモットーが、小倉さんにはある。では、誰が彼女をハッピーにするのだろうか。答えは彼女の言葉の中にあった。「売上などの数字による成果で出た時もうれしいのですが、クルーたちが自分のスキルや強みを発揮している姿を見るのが、私の一番のやりがいかもしれません。そういう時は、自然とお客様へ良い店舗体験を提供できているように感じます」。仲間に対して人一倍まじめである小倉さんが与え続けてきたフィードバックや挑戦の機会、そして勇気が仲間を輝かせている。それが彼女自身の幸せとなり、〝お客様や仲間たちのために〟という想いをより一層強くしている。この店舗のハッピーは、小倉さんから仲間やお客様へ連鎖していき、これからもめぐりめぐって少しずつ大きくなっていく。29SMILE 2025 vol.426

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