「ありがとう」を一球に込めて
「元気になった姿を見せて、ハウスを支援してくれた人達に感謝を伝えたい!」――それが、加藤 稜くんが今回の応援ナイターで始球式という大役に挑んだ理由だった。稜くんは4年ほど前、小児がん拠点病院の一つである名古屋大学医学部附属病院に隣接する「なごやハウス」を利用していた。そんな折、同じ名古屋市内に本拠地を構える中日ドラゴンズの選手が「なごやハウス」を訪問。直接励ましの言葉をかけられ、気持ちが前向きになったという。
とはいえ稜くんは球技が苦手で、始球式が決まった直後はキャッチボールすらままならなかった。しかし夏休み中に練習を重ね、しっかりと投球できるまでに。始球式の直前には、ハウスの支援に積極的な上田 洸太朗投手と面会し、「自信を持って、思いっきり腕を振ってみて!」と激励を受けた。アドバイスを胸に臨んだ本番。緊張の中投じた一球に、約3万人の観客からあたたかな拍手が送られた。
今、稜くんは小児がんと向き合う子供達を支援する募金活動に参加しているという。「たくさんの人が僕に『頑張れ』って言ってくれたから、今度は僕が支える番になりたいんです」。