STORY#075

日本初のドナルド・マクドナルド・ファミリールームがオープン

2024.02.13東京都

「子供たちに付き添うご家族が、安らげる場所を」。そんな想いから2023年12月8日、公益財団法人榊原記念財団 附属 榊原記念病院(以下、榊原記念病院)の院内に日本初の「ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム」が開所しました。

ファミリールームはどうしてできたのか?
開所を迎えたスタッフの皆さんの気持ちとは?
院内に設けられた“ひと部屋”にまつわるストーリーをお届けします。

#
わが家のようにくつろげる温かな空間
#
ミニキッチン
#
搾乳・化粧室

子供のそばから離れずに、
“医療スペース”から離れられる場所

「病院」と聞いて皆さんは何をイメージしますか?
多くの方がイメージするのは、白い壁や床、ベッドのシーツ、白衣ではないでしょうか。

「ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム(以下、ファミリールーム)」は、そうした病院内のイメージとは、趣の異なる空間です。飲食スペースやミニキッチン、仮眠も可能なマッサージチェアのほか、搾乳・化粧室などを備え、どちらかといえば、家のリビングに近いかもしれません。

世界で初めてファミリールームがオープンしたのは1997年のこと。今では世界約260カ所に開設されています。このたび、日本で初めてファミリールームが設置された榊原記念病院は、循環器領域に特化した専門病院です。難しい症例を多く扱っており、小児心臓手術の実績も日本トップ規模であることから、多くの子供たちも入院しています。またご家族がお子さんに付き添っておられるケースが少なくないのも、この病院の特徴です。

子供の入院に付き添うご家族は、精神的にも肉体的にも、そして経済的にも大きな負担を抱えています。ファミリールームはこうしたご家族が「子どものそばから離れることなく、それでいて束の間、“医療スペース”から離れて心と身体を休められる場所を届けられたら」という想いから設けられたのです。

#
榊原記念病院で行われた開所式には多くの方々が駆け付けた

大きな期待とともに迎えた開所式

オープンに先立ち行われた12月4日の開所式には、これまでも日本全国のドナルド・マクドナルド・ハウスを支えてきた支援者をはじめ、数多くの方々が出席しました。

式では、加藤 鮎子 こども政策担当大臣や尾﨑 治夫 東京都医師会会長から、開設を祝うご祝辞をいただくほか、Team DMHCアンバサダーである俳優・石田 ひかりさんも式に駆け付け、「明るくて清潔感のある、愛の溢れる空間で、少しでもリラックスしていただけたら」とファミリールームへの期待を語ってくださいました。

#
小児循環器科 医員 齋藤 美香さん

泣いたり、考えたりする場所がほしい

「ご家族のご負担をどうにかできないか。この気持ちは小児科の医師みんな同じでした」。小児循環器科の医師として、子供とそのご家族に向き合ってきた齋藤 美香さんはそう語ります。

榊原記念病院に入院する子供には、生まれたばかりの赤ちゃんも少なくありません。ご家族の多くは「子供のそばにずっといたい」「母乳で育てたい」など、子供に少しでも長く付き添うことを希望します。病院としても簡易ベッドやシャワーなどは貸し出してはいたものの、十分ではないと齋藤さんは感じていたそうです。

「院内にコンビニはありますが、温かな食事をゆっくりとれる場所はありません。私自身、過去に子供の入院を経験していますが、同室のお子様のことが気になったり、自宅で待つほかの家族のことも考えなければならなかったり、落ち着く時間は、本当に取れないのです。

また、病院に寄せられたご家族の声に“何か辛いことがあった時に、そっと泣ける場所がほしい”というものがありました。医師として、時には病状について厳しいお話をしなければならないこともあります。そういうときにご家族が泣いたり考えたりする場所が、今までなかったのです。ずっと真っ白な壁と柵付のベッドを見ているご家族にとって、ファミリールームの存在は、とても大切な場所になるのではないかと考えています」。

#
「榊原記念病院ファミリールーム」マネージャーの近藤 二夫さん(左)、アシスタントマネージャーの杉原 弘子さん
#
榊原記念病院1階の外来ロビーに設置された感謝の樹

寄り添うことはできる

このファミリールームを支えるのは、これまでもドナルド・マクドナルド・ハウスでの勤務経験のあるスタッフたちです。マネージャーを務める近藤 二夫さんは、開所に備えて、一日、榊原記念病院で過ごし、院内の様子を知ることから始めたそうです。

「利用するご家族は一日中病院の中にいらっしゃいますから、私も同じように過ごしてみて、少しでも現状やお気持ちを知ろうと考えたんです。わかったのは、ずっと機械音がしていたり、お子さまの泣き声がすること。ご家族にも、いっとき子供のベッドサイドから離れられる場所は必要だろうということを実感しました。一方で、孤独を感じる・同じ境遇のご家族と会って話したいというご意見もありました。

ですから、ファミリールームは温かみのあるコミュニティであると同時に、ご家族それぞれのプライバシーが守られる場所という両面の機能が必要だと思っています。私たちスタッフも、事情に立ち入ることはせず、でも、そっと寄り添える存在になれたらと考えています」。

アシスタントマネージャーを務める杉原 弘子さんは、病気の子供の母としてのご経験から、「いつか似た境遇のご家族を支える活動をしたい」と考えるようになり、東大ハウスのボランティアに参加。その経験をもとに、アシスタントマネージャーとして「辛い状況にある人が、穏やかな気持ちでいられる場にできれば」と話します。

「病気の内容によっては、重く辛い状況にも接すると思います。私たちはその重さを本当の意味で理解することはできません。でも、適度な距離感で、寄り添うことならできると思うんです。微笑み以上だけれども決して大げさではない「ご家族にとって心地よい笑顔」の伝道師になりたい。それが自分に向けたスローガンであり、これからの目標です」。

登場した店舗
榊原記念病院ファミリールーム
登場した人/会社
榊原記念病院
活動内容
DMHC
活動時期
2023年12月4日 ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム開所式

この記事のタグ

関連するストーリー

TOPに戻る