STORY#097

東北の地で、「マクドナルドラジオ大学®」の窓が開く

2024.12.11青森県

POINT
  • ・2024 年9月27日〜2025年3月9日の約5カ月間にわたり、弘前れんが倉庫美術館では、タグチアートコレクションとの協働企画展「どうやってこの世界に生まれてきたの?」を開催。世界各地で活動する48組のアーティストたちの作品を紹介する。
  • ・作品の一つとして、演劇ユニット・Port B(ポルト・ビー)主宰の高山 明氏によるアートプロジェクト「マクドナルドラジオ大学」を弘前市内のマクドナルド4店舗で実施。
  • ・今回の「マクドナルドラジオ大学」では、新たに3講義が加えられ、その1つをマクドナルドで働く外国人クルーが担当している。

弘前れんが倉庫美術館の受付で手渡されたマクドナルドカラーの赤いパンフレット、そこには「入学案内」と記されています。

マクドナルドのお店を「大学」に変えるアートプロジェクト、「マクドナルドラジオ大学」。演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)による企画で、QRコードから読み込み、メニューを楽しみながら様々な講義を聴講することができます。

青森県弘前市から開いた、広い世界につながる「小さな窓」。そこから見えた世界の一片をお届けします。

※QRコードは、(株)デンソーウェーブの登録商標です。

アートは誰もが生み出せて、誰もが受け取れるもの

マクドナルドラジオ大学の「教授」を務めるのは、様々な理由で故国を離れた移民や難民です。それぞれの経験やアイデンティティに基づいた「講義」を発信する――高山氏はその教壇を、多様な人々が気軽に集まるマクドナルドの中につくりました。

前回の鳥取に続く新たな舞台は、城下町の風情が残る青森県弘前市。弘前れんが倉庫美術館で開催されている企画展のサテライト展示として、弘前市内のマクドナルド4店舗で講義を聞くことができます。

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トレーマットやテーブルステッカーの案内からQRコードを読み込み、多様な講義を聴講することができます

自身のデバイスを通して、お客様が思い思いに聴講する。そんな現在のマクドナルドラジオ大学を、「現代のコミュニケーションのあり方に馴染んだ自然な形」だと弘前れんが倉庫美術館の木村 絵理子館長は話します。

「今の時代、お店でお客さん同士が知り合ってコミュニティが生まれる、というのはなかなかハードルが高いと思います。そうした直接的な関わり合いがなくとも、作品を媒体に、作者が目にした世界や想いを知ることができる。同じ講義を聞いた人の間にも、分かち合える何かが芽生えるかもしれません。1対1の関係でつながる豊かさを伝えるプロジェクトを企画展に弘前で実現できたことに大きな意義を感じています」

美術館は、歴史も地域も超えて世界の人々とつながる「窓」を設けている場所。そう考える木村館長にとって、その窓が「誰もが気軽に立ち寄ることができるマクドナルド」で開かれるマクドナルドラジオ大学は、地域の方々が新たな世界に触れるきっかけをさらに広げるものでした。

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弘前れんが倉庫美術館の木村 絵理子館長
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弘前れんが倉庫美術館の受付で手渡される、マクドナルド大学の「入学案内」

留学生の目に映る弘前を、地域の学生たちに知ってほしい

「毎回興味深い講義が生まれますが、今回は津軽ならではのコンテンツを揃えることができました」

マクドナルドラジオ大学を始めて7年目を迎えた高山さんは嬉しそうに話します。

そのうちの1講義で教授を務めた留学生、ホシニはマクドナルドのクルー。アフガニスタン出身の彼は盛岡の大学で学ぶため、2023年に来日しました。

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演劇ユニットPort B(ポルト・ビー)の主宰者で、演出家/アーティストの高山 明氏

高山さんは話します。「『来日当時カルチャーショックを受けた経験から、日本に滞在している留学生が暮らしやすくなるような情報システムについて研究している』と聞き、日本で学ぶことになった背景も含めて、ぜひ講義してもらいたいと思いました。今回、薄れつつある弘前の伝統を取り上げた講義がある一方で、そうした文化的な街に行き着き、何かを成し遂げようとしているホシニさんのような方の講義も聞くことができます。弘前は学生も多いですから、学ぶ場を求めて日本に来た同世代の人が身近にいることを知って、彼らの中に何か新しい世界への扉が開くきっかけになったらと思います」

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アフガニスタンからの留学生で、盛岡青山店のクルーであるホシニ
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弘前れんが倉庫美術館で会期初日に開催された開会セレモニーの様子

日常の中にあるマクドナルドで、価値観が広がる体験を届けることができたら

そう語るのは、日本マクドナルド(株)フランチャイジー ヒロフーズ株式会社の水落 辰也取締役本部長です。

「日頃から地域に根ざした活動を行う中で、他業種の方々と連携する機会は過去にもあったのですが、美術館とつながる発想はなかったので、どのような相乗効果が起きるだろうとワクワクしました」

実施する4店舗では、店長を中心に店舗一体となってマクドナルドラジオ大学への理解を深めていきました。熱心に講義に耳を傾けるクルーたちの姿もあったといいます。また会期を通して、思わぬうれしさもありました。

「内輪の話ですが、教授を務めたクルーのホシニから『社員にはどうすればなれますか?』と相談されたんです。この経験が、『ハンバーガーを売るだけではない』マクドナルドの地域に根ざした取り組みに目を向けるきっかけになったのかもしれません。東北ではさらに外国人の雇用を増やしていく余地があるため、外国人社員として採用を先導してもらうことで多様性を広げていけたらと考えています」

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店舗レジ前にもマクドナルドラジオ大学の案内を展開

地域社会に新たな視点や多様な価値観が広がるきっかけをつくりたい。開催から1カ月を経た今、その思いはさらに高まっています。「会期を通して、この『窓』から広がる世界が多くの皆様に広がっていけばうれしいです」

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日本マクドナルド(株)フランチャイジー ヒロフーズ株式会社の水落 辰也取締役本部長
COMMENT

マクドナルドはいつでも、誰にでも開かれた、誰かと「共に」いられる場所です

日本マクドナルド(株)では、この高山 明氏のアートプロジェクト「マクドナルドラジオ大学」を通じて、マクドナルドは誰にでも開かれた、同じ空間の中で分け隔てなく共にいられる場所であり、そして、多様な方たちの存在、想い、背景、アイデンティティを知ることができる場所、大人も子供も、外国人も日本人も、いろいろな想いを抱える人たちを受け入れられる場所であるということをぜひ知っていただきたいと思っています。
六本木、鳥取に続く今回は、弘前れんが倉庫美術館とタグチアートコレクションとの協働企画展の一環として弘前で開催されました。次はあなたの街で「マクドナルドラジオ大学」が開校されるかもしれません。

日本マクドナルド(株)サステナビリティ&ESG部 部長 牧 陽子

登場した店舗
弘前大町店
登場した人/会社
弘前れんが倉庫美術館
Port B(ポルト・ビー)/演出家/アーティストの高山 明氏
日本マクドナルド(株)フランチャイジー ヒロフーズ株式会社
活動内容
マクドナルドラジオ大学

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