アートは誰もが生み出せて、誰もが受け取れるもの
マクドナルドラジオ大学の「教授」を務めるのは、様々な理由で故国を離れた移民や難民です。それぞれの経験やアイデンティティに基づいた「講義」を発信する――高山氏はその教壇を、多様な人々が気軽に集まるマクドナルドの中につくりました。
前回の鳥取に続く新たな舞台は、城下町の風情が残る青森県弘前市。弘前れんが倉庫美術館で開催されている企画展のサテライト展示として、弘前市内のマクドナルド4店舗で講義を聞くことができます。
自身のデバイスを通して、お客様が思い思いに聴講する。そんな現在のマクドナルドラジオ大学を、「現代のコミュニケーションのあり方に馴染んだ自然な形」だと弘前れんが倉庫美術館の木村 絵理子館長は話します。
「今の時代、お店でお客さん同士が知り合ってコミュニティが生まれる、というのはなかなかハードルが高いと思います。そうした直接的な関わり合いがなくとも、作品を媒体に、作者が目にした世界や想いを知ることができる。同じ講義を聞いた人の間にも、分かち合える何かが芽生えるかもしれません。1対1の関係でつながる豊かさを伝えるプロジェクトを企画展に弘前で実現できたことに大きな意義を感じています」
美術館は、歴史も地域も超えて世界の人々とつながる「窓」を設けている場所。そう考える木村館長にとって、その窓が「誰もが気軽に立ち寄ることができるマクドナルド」で開かれるマクドナルドラジオ大学は、地域の方々が新たな世界に触れるきっかけをさらに広げるものでした。